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俺の名前はアキラ、高校二年生。ごく普通の日常を送っていたはずが、その日、教室に新しく転校生がやってきたことで、俺の日常は一変した。

「初めまして、皆さん。ムーディーズから来たユリです。どうぞよろしく！」

教室中がざわめいた。ムーディーズ？それはこの世界で最も話題になっている奇妙な組織。ムーディーズは、その独自の診断システムによって、人々の感情や未来を予測すると噂されている。まるで魔法のような技術を持つその組織から転校生が来るなんて、誰もが予想できなかった。

ユリは黒髪で艶やか、そして瞳は澄んだ青。それが彼女の持つ特別な力を象徴しているかのようだった。教室の隅に座っている俺の方まで、その特別な雰囲気が届いてきた。

昼休み、ユリが俺に話しかけてきた。

「アキラさん、ちょっと時間ありますか？」

「え、俺に？」

「はい、アキラさんにお話がしたいんです」

俺は半信半疑で彼女の後をついていった。彼女が選んだのは屋上だった。風が気持ちいい。しかし、何か重い話が始まりそうな予感がした。

「アキラさんはムーディーズのこと、どこまで知っていますか？」

「まぁ、噂くらいなら。未来を予測するとか、運命を操るとか」

ユリは少し笑ってから、真剣な表情になった。

「実は、ムーディーズにはもっと深い秘密があります。それは単に未来を予測するだけじゃなく、未来を変える力も持っているんです。そして、私にはその力が少しあります」

なんということだ。彼女が未来を変える力を持っていると言うのだ。大げさな話に聞こえたが、何か本当のことを言っているような感じがした。

「だから、アキラさんにはお願いがあります」

「お願い？」

「アキラさんの本当の未来を教えたいんです。本当の未来が幸せであるように、私が手助けできたらと思って」

困惑したが、心のどこかでその提案に惹かれた。

「じゃあ、俺の未来はどうなるって？」

ユリは瞳を閉じ、しばらくしてから言った。

「アキラさんの未来には、大きな試練が待っています。しかし、それを乗り越えた先には…」

その瞬間、教室の鐘が鳴り響いた。昼休みが終わりを告げていた。

「続きは後で。じゃあ戻りましょう。」

放課後、ユリは俺に再び話しかけた。

「今から特別な場所に連れて行きます。」

そして俺たちは、学校の裏山にある秘密の小屋に向かった。ムーディーズの一部であるその場所に、彼女の力で未来が映し出される鏡があった。

「この鏡に触れると、アキラさんの未来が映ります。ただし、いいことも悪いこともすべて」

鏡に手を添えた瞬間、未来の映像が鮮やかに現れた。俺が失敗し、誰かを傷つける場面、そしてその後に再び立ち上がり、皆に感謝される場面も映った。

「どうして俺にこれを…？」

ユリは微笑んだ。

「ハッピーエンドは誰にでも訪れるもの。でも、そのためには努力と勇気が必要です。アキラさんはその力を持っています」

その言葉に勇気づけられた俺は、少しずつ自分に自信を持つようになった。ユリはそのあとも、たびたび俺の側にいて、色々なアドバイスをくれた。

数ヶ月後、学校で大きなイベントがあった。クラス対抗の劇で、大勢の観客の前で役を演じることになった。俺は緊張で胃が痛くなりそうだったが、ユリの言葉を思い出して頑張った。

舞台は大成功に終わり、クラスメイトたちと一緒に喜びを分かち合った。その瞬間、俺は自分が変わったことを実感した。

ユリが俺に教えてくれた未来は、ただの予言ではなかった。それは俺自身が努力して掴み取った未来だった。

「アキラさん、これからも頑張ってくださいね。未来は自分で作るものですから」

そう言って彼女は再び微笑んだ。そして、その瞳には確かに未来を見据える強さがあった。

こうして、俺たちは共に困難を乗り越え、ハッピーエンドを迎えることができた。ユリは特別な力を持っていたけれど、それ以上に大切なのは、人々が信じて、努力し続けることだと教えてくれた。

そして、俺の心には彼女の言葉が深く刻まれた。「ハッピーエンド」は誰にでも可能だからこそ、その先にある無限の可能性を信じて進んでいくべきだと。

未来はどうなるかわからない。でも、それがどんなに険しい道のりでも、俺は絶対に諦めない。ユリと共に歩んだこの道のりが、俺にその信念を与えてくれたからだ。

こうして、俺とユリの物語はハッピーエンドを迎えた。しかし、これは終わりではなく、新たな始まりだと感じている。これからも俺たちの冒険は続いていくのだから。