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裕太は普通の男子高校生だ。成績は中の中、運動神経はやや悪し、特に目立つ趣味もなく、日常を淡々と過ごすだけの日々。しかし、彼の生活には一つの秘密があった。彼は特定のSNSプラットフォームで匿名で配信をしており、ある種の人気を集めていた。

「さて、今日もやりますか」

放課後、いつものように部屋に帰り、裕太はパソコンを立ち上げる。彼が配信しているのは、ちょっとした日常の出来事や、ゲーム配信だ。他の配信者と比べ物にならないくらいの地味さだが、それが逆に受けていた。彼の落ち着いた声と、まるで友達と話すような親しみやすいトーンが、リスナーにとって心地良かったようだ。

「よし、今日も視聴者数を増やすぞ！」

彼はカメラをセットし、マイクのチェックを入念に行った。突然、スマホの画面にメッセージが表示された。

「裕太くん、ちょっと相談があるんだけど…」

メッセージの送り主は、彼のクラスメートの美咲だ。少々お堅いイメージの彼女が、なぜこんな唐突にメッセージを送ってくるのか彼には理解できなかった。

「どうしたの、美咲？」

裕太は返事を書き込みながら、彼女の悩みが一体何なのか気になっていた。

「実は、学校である噂が流れていて、それについて相談できる人がほしいの。会って話せる？」

裕太は一瞬戸惑ったが、もう一方の心では興味津々だった。彼は美咲の噂には全く関心がなかったのだが、彼女がこうして直接会って話すことを求めてくるのは珍しい。

「いいよ。どこで会おうか？」

結局、二人は近くのカフェで会うことになった。カフェに到着すると、美咲は既に座っていた。いつもは冷静でクールな彼女が、今日は何かしら不安そうな表情を浮かべていた。

「裕太、ありがとう。こんなに急なお願いに応じてくれて」

「どういたしまして、美咲。で、何の悩み？」

美咲は少しの間沈黙を続けたが、ついに口を開いた。

「実は、最近学校で妙な噂が広まってるの。『媚薬』の話よ」

裕太は一瞬言葉を失った。媚薬？そんな非現実的な話が学校で広まるなんて、一体どういうことなのか。

「媚薬？まさか、それを本気で信じてる人なんていないよね？」

美咲は頷きながらも、目には不安が浮かんでいた。

「でも、実際にそれを使ったって噂があるの。しかも使われた相手が私の親友の千夏なの」

裕太の心は一瞬で重くなった。千夏は彼の幼馴染であり、その仲の良さからクラスメートたちも彼女に対して一目置いていた。

「千夏に何が？」

美咲は深呼吸をして、続けた。

「千夏が最近、明らかに様子がおかしいの。なんだか無気力で、この前なんか男子にベタベタしてたところを見つけたの」

裕太の頭の中には、千夏の元気な姿が浮かんだ。いつも笑顔で、クラスのムードメーカーだった彼女が、今こんなにも変わってしまっているなんて。

「それで、美咲はどうしたいんだ？」

「実はね、私たちのクラスにはある男子がいるの。その人が千夏に媚薬を使ったって噂が立ってるのよ」

裕太は眉をひそめた。美咲が言ったその男子が、ニュースで出てくるような犯罪者の顔つきをしているわけではない。しかし、彼には確かに不気味なところがあった。

「その男子とは、翔太か？」

美咲は頷き、言葉を続けた。

「翔太は昔から千夏に片思いしてたって話は知ってたけど、こんな形で彼女に近づくなんて…」

裕太は考え込んだ。翔太という男子は、成績優秀で運動神経も良いが、どこか近寄りがたい雰囲気が常に漂っていた。しかし媚薬という手段を使うなんて、本当に現実の話なのだろうか。

「美咲、その噂が本当かどうかは分からない。でも、もし本当に千夏がそれの影響を受けているとしたら、大きな問題だ」

「そうなの。だから、私たちが何とかしなくちゃいけない」

裕太と美咲は、千夏のために行動を起こすことを決意した。翌日、放課後に千夏を呼び出し、彼女と話すことにした。

「千夏、ちょっと話があるんだけど」

千夏は裕太と美咲の姿を見て、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに普通の笑顔に戻った。

「どうしたの、裕太、美咲？」

裕太は千夏の目を見つめながら、慎重に言葉を選んだ。

「千夏、最近学校で変な噂が流れてるんだ。それについて、君の話が出てるんだけど…」

千夏の顔色が一瞬で変わった。美咲はすぐに彼女の手を握り、優しく言った。

「千夏、私たちが言いたいのは、君が大変な状況にいるなら、私たちが助けたいってことなの」

千夏は一瞬戸惑ったが、ついに堰が切れたように話し始めた。

「実は…」

彼女の話によると、確かに翔太が彼女に近づいてきた時期と、彼女の異変が重なっていた。翔太が差し出した飲み物を飲んだ後、千夏は一気に理性を失い、その結果として男子に対して異常なほどの愛着を示してしまったらしい。

「翔太がそんなことを…」

裕太の胸には、怒りと悔しさが込み上げてきた。翔太に対するこの気持ちをどう処理すればいいのか、彼には全く分からなかった。

「裕太、どうする？」

美咲の言葉に、裕太は深く考えた。翔太に何かしらの罰を与える必要があるのは確かだが、今はまず千夏を助けることが最優先だ。

「まずは、千夏を安全な場所に保護しよう。俺たちの配信を使って、公正な証拠を集めるんだ」

裕太の頭には一つのアイデアがあった。彼の配信を使って、翔太の悪行を暴き、千夏を救うための方法を模索するのだ。

計画はすぐに動き出した。裕太と美咲は携帯カメラを使って、翔太に接近し、不思議な状況を録画することに成功した。視聴者に向けて、千夏の状況を詳細に説明し、証拠を集めるターゲットに協力を依頼した。

その配信の中で、裕太は日本男児としての誇りを胸に抱き、正義を貫くことを誓った。そして翔太の悪事が白日のもとにさらされたとき、千夏は遂に自由を取り戻し、裕太は自身の配信者としての影響力の大切さを再認識した。

裕太たちの行動は、学校内で大きな反響を呼び、最終的には教育委員会にも連絡が行き、翔太は処罰を受けることとなった。千夏も回復し、再び笑顔を取り戻すことができたのは、裕太と美咲の勇気と友情から来る行動のおかげだった。

裕太は日本男児としての強い心を持ち続け、これからも周囲の人々を守り抜く決意を新たにしたのであった。