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桜花が舞い散る春風の中、エイス・ハイスクールの一角で俺――辰巳翔太は、教室のドアを静かに開けた。そこには、すでに数人の生徒たちが集まっており、その中でもひときわ目立つ存在がいた。

彼女の名前は、響あかり。長い黒髪と大きな瞳、そしてその笑顔は学校中の男子を虜にしている。俺もそのひとりであり、彼女への思いを胸に秘めている。

「あ、翔太くん、おはよう！」

あかりが俺に手を振りながら微笑む。その笑顔がまるで春の日差しのように温かく、一瞬で周囲の寒さを忘れさせてくれる。

「お、おはよう、あかり」

緊張しながらも返事をする俺に、彼女はさらに近づいてきた。彼女の香りがほんのりと鼻をかすめ、その瞬間、心臓がドキドキと高鳴る。

「今日は特別な日だからね。忘れ物とかしないように！」

あかりが楽しそうに言う。そう、今日は学校祭のオープニングセレモニーがある日だ。俺には特に重要な役割はないけれど、彼女の姿を見ることができるだけで十分だった。

セレモニーが始まる前、校庭には多くの生徒たちが集まり、熱気で溢れていた。あかりはステージの中央に立ち、マイクを手にしていた。その姿はまさにアイドルそのものだ。

「皆さん、お騒がせしましたが、新学期開始のセレモニーが、今から始まります！」

響き渡る彼女の声に、拍手と歓声が巻き起こる。俺もその中で拍手を送りながら、彼女の姿に見惚れていた。その瞬間、彼女と目が合った気がして、心が高鳴る。

セレモニーが無事に進行し、最後の挨拶が終わると、みんな自由に動き始めた。俺は少し離れた場所から彼女を見つめ、その後を追うように歩き出す。

「翔太くん、ちょっと来てくれる？」

その声に振り向くと、そこにはあかりが立っていた。近づく俺に、彼女は微笑む。

「ありがとう、手伝ってくれる？」

俺は彼女の頼みを二つ返事で引き受け、彼女と一緒に学校の裏庭へと向かった。そこには多くの飾り付けや道具が置かれており、作業が必要な状態だった。

「さあ、始めよう！」

あかりの声に元気づけられ、俺たちは一緒に作業を始めた。彼女と過ごす時間は、本当に夢のようだった。時々、彼女が俺に話しかけてくれるその度に、胸の奥が暖かくなる。

「翔太くんって、本当に頼りになるね」

あかりのその言葉に、思わず顔が赤くなる。照れくささを隠すために、俺は笑って彼女を見つめた。

「そんなことないよ、あかりが頑張ってるからだよ」

そう言うと、彼女はさらに笑顔を深めた。その笑顔は、本当に最高だと思った。この瞬間が永遠に続けばいいのにとさえ思った。

しかし、時は待ってはくれず、校庭の飾り付けが完了すると、彼女は軽く頭を下げた。

「ありがとう、翔太くん。本当に助かったよ！」

「いや、それほどでも...」

心の中ではもっと一緒にいたいけど、彼女も忙しいことは分かっていた。仕方なく、彼女と別れて自分のクラスに戻ろうとしたその時。

「ところで、翔太くん」

再び呼び止められ、振り向くと、彼女が少し恥ずかしそうに手をもじもじとしていた。

「えっと...その...一緒にお昼ご飯、食べない？」

その言葉に、俺の心は一気に舞い上がった。まさか、あかりからそんな誘いを受けるなんて。

「う、うん！もちろん！」

テンションが上がりすぎて、少し大きめの声で応じる俺。それに彼女は嬉しそうに笑ってくれた。

昼休み、校庭のベンチであかりと二人きり。お弁当を広げ、二人で食べながら話す時間が本当に夢のようだった。彼女の笑顔、やわらかな声、全てが最高だった。

「ねえ、翔太くん」

あかりが少し真剣な表情で俺を見る。

「君のこと、もっと知りたいな」

その言葉は、まるで夢の中のようで、信じられなかった。でも、その瞬間、俺の中で何かが弾けた。

「あかり...僕も、君のことをもっと知りたい」

その言葉が自然と口から出た。そう、この瞬間が本当に求めるものだったのかもしれない。俺たちはお互いに微笑んで、それからの時間をゆっくりと過ごした。

この日、俺の心には確かに彼女の存在が刻まれた。彼女への思いは、これからも絶対に変わらないだろう。この輝かしい瞬間を経て、俺たちの物語は始まったばかりだ。